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2006 年度 実績報告書

細菌芽胞の形成と発芽の阻害剤としての1,5-アンヒドロフルクトースの評価

研究課題

研究課題/領域番号 16613007
研究機関鹿児島大学

研究代表者

安部 淳一  鹿児島大学, 農学部, 教授 (80128404)

研究分担者 南 雄二  鹿児島大学, 農学部, 助教授 (90253913)
キーワード枯草菌 / 芽胞 / 形成阻害 / 発芽阻害 / 蛋白質 / 二次元電気泳動 / 質量分析計
研究概要

1,5-D-アンヒドロフルクトース(1,5-AF)を培地に添加することにより、枯草菌は芽胞の形成が阻害され、また発芽後の生育が顕著に抑制されることを今までに明らかにしてきた。今年度はこれらの理由をプロテオミクス解析により明らかにすることをめざした。この点を明らかにするための最も大きな障壁は、芽胞からの蛋白質の抽出法であることが確認できた。芽胞から最も再現性良く蛋白質を回収できたのは、ガラスビーズと混和し機械的に破砕する方法であった。これにより、1,5-AFが枯草菌に与える影響を解析したところ、芽胞形成期には昨年度見出したYqfD、RsbV、FtsYなどの欠如が再確認され、またシャペロン関係蛋白質と解糖系のいくつかの酵素が抑制されていることが見出された。これらのデータを総合すると、1,5-AFは微生物が生育して培地の成分が不足するという環境ストレスを微生物に検出させないことが主因と考えられ、このことにより芽胞形成系がうまく起動していないと考えられた。
一方、芽胞が発芽する際に1,5-AFが与える影響としてはペプチド延長因子やシャペロニン蛋白質が欠損していること、また芽胞の生育に重要なペプチドを分解する酵素が抑制されていることが見出され、これらが原因で芽胞が発芽・生育できないことが明らかになった。また、1,5-AFは枯草菌だけでなく、病原性芽胞菌Bacillus cereus、清涼飲料水の生産での問題菌Alicyclobacillusの芽胞生成、と発芽も抑制することが見出され、芽胞形成菌に共通の機構と考えられた。
これまでの結果を総合して、1,5-AFはヒトにとって有害性は無く、一方で芽胞を形成する菌にとっては、ストレスの検出系とエネルギー獲得系のいくつかのキーとなる酵素生産を抑制することによって芽胞の形成と発芽を抑制できる極めて好ましい糖質であることがわかった。

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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