研究課題/領域番号 |
16613013
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研究機関 | 国立医薬品食品衛生研究所 |
研究代表者 |
朝倉 宏 国立医薬品食品衛生研究所, 食品衛生管理部, 研究員 (40370936)
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研究分担者 |
五十君 静信 国立医薬品食品衛生研究所, 食品衛生管理部, 室長 (70212743)
牧野 壮一 帯広畜産大学, 大動物特殊疾病研究センター, 教授・センター長 (30181621)
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キーワード | O157 / VNC / 2次元電気泳動 / MALDI-TOF / MS |
研究概要 |
98年にイクラを原因食品とする腸管出血性大腸菌O157集団感染が発生した。以前の研究において我々は本事例における食品由来株が食塩に対し耐性であったのに対し、患者由来株は高感受性を示し、13%食塩水中での24時間培養により、コロニー形成を喪失したこと、そして蛍光染色による評価の結果、生きているが培養できない状態と推察されたことを報告した(Makino S et al.Appl.Environ.Microbiol.66:5536-39.)。本研究では、まず食塩下における食品・患者由来株間の生存性の違いに着目し、様々なストレス下での消長を検討した。その結果、患者由来株は食塩と同様に、酸化ストレス下で急速にVNC状態に移行したが、その他のストレス(熱、飢餓、pH)に対しては、顕著な差異を示さないことを明らかにした。 次に、イクラ由来株と患者由来株の間の表現形質の違いを網羅的に明らかにするため、2次元電気泳動を行い、発現スポットを定量的に比較した。その結果、両株において再現性をもって発現を示したタンパクスポットの99%以上は2倍以下の差異にとどまっていたが、計31のスポットは2倍以上の変化を示し、このうちの多くはリボゾーム関連タンパク因子で最も顕著な変化は約24倍であった。また、VNC期において有意な発現を示したスポットの同定をMALDI-TOF/MSにより行い、検出系への応用を目的として発現ベクター系の構築をおこなった。
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