研究課題/領域番号 |
16614012
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
塩見 利明 愛知医科大学, 医学部, 教授 (40140032)
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研究分担者 |
篠辺 龍二郎 愛知医科大学, 医学部, 講師 (20288517)
大竹 一生 愛知医科大学, 医学部, 助手 (10367774)
長谷川 里佳 愛知医科大学, 医学部, 助手 (00308983)
薮下 廣光 愛知医科大学, 医学部, 教授 (00140046)
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キーワード | 妊娠 / 睡眠時無呼吸 / 肥満 / 低酸素血症 / 流産 / 発達障害 / IUGR / CPAP |
研究概要 |
本研究(平成16〜18年度)は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)による夜間睡眠中の低酸素血症が胎児に悪影響を及ぼすか否かの病態を解明し、また妊娠中の体重増加による肥満がSASなどの睡眠呼吸障害を引き起こすか否かを明らかにし、さらにそれらの予防法や治療法を検討するために行った。 平成18年度の研究成果は、第70回日本循環器学会総会ミートザエキスパートの講演、第21回東京及び第47回日本母性衛生学会学術集会の教育講演、さらに全国の医師会や地方の研究会でも多数報告した。また、本研究の一つとして夜間のパルスオキシメーターを用いた妊婦の研究を行い、第59回日本産婦人科学会学術講演会では、妊婦における睡眠呼吸障害(3%ODI>5/hr)の合併は妊婦86例中6例(7.0%)に認められ、妊娠の進行に伴って増える傾向があり、異常体重増加群に高率で、胎児発達遅延(IUGR)の一因となる可能性があることを報告した。 これまで、産科医や助産師は妊婦のいびきやSASの合併を軽視してきた。しかし、重度のSASを合併した高度肥満の妊婦では、夜間睡眠中、特にレム睡眠中に無呼吸によって高度の低酸素血症(SpO_2<70%またはPaO_2<40torr)を生じた場合に、母体のみならず胎児にも悪影響を及ぼし、妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病、反復流産、切迫早産、さらに児の発達障害(広汎性脳機能障害)などの一因にもなり得ると結論された。一方、産科的研究において、妊婦の異常体重増加群ではIUGRとの関連性が示唆された。 現時点で、我々は2人の重症SASを合併した肥満妊婦に対する在宅持続陽圧呼吸(CPAP)療法を行い、妊娠中のCPAP指導管理に成功している。近年、子癇前症に対するCPAPの降圧効果も報告されているため、妊婦に対するSASの早期発見と早期CPAP治療はさらに重要な研究課題になり得ると考えられる。
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