研究課題/領域番号 |
16615001
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
塩谷 隆信 秋田大学, 医学部, 教授 (90170852)
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研究分担者 |
佐竹 將宏 秋田大学, 医学部, 助教授 (10250903)
佐々木 昌博 秋田大学, 医学部, 助教授 (20221278)
小泉 昭夫 京都大学, 医学研究科, 教授 (50124574)
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キーワード | 遺伝性出血性末梢血管拡張症 / 遺伝子疫学 / 肺動静脈奇形 / 脳動静脈奇形 / 呼吸リハビリテーション / 呼吸筋トレーニング |
研究概要 |
遺伝性出血性末梢血管拡張症(オスラー病:hereditary hemorrhagic telangiectasia; HHT)は、1)遺伝的発生、2)皮膚・粘膜、内臓の多発性末梢血管拡張、3)各部位からの反復する出血を3主徴とする疾患である。本症は末梢血管拡張、その部位からの出血が種々の臓器に出現する多臓器疾患であるために臨床症状が極めて多岐にわたり、患者は内科のみならず、外科、耳鼻咽喉科、皮膚科、歯科など極めて多くの科を初診する。さらに、合併する脳動静脈奇形あるいは、肺動静脈奇形の破綻により致死的となることも稀ではない。本研究は、日本におけるHHTの発生頻度・罹病率について遺伝疫学的に検討を行い、本疾患による合併症の予防、治療を呼吸リハビリテーション(リハビリ)という観点から考察し、さらに将来的には遺伝子治療の足がかりを探ろうとするものである。 HHT症例として、多発性肝膿瘍、脳膿瘍で発症した肺動静脈奇形を合併する55歳男性症例を発見した。また、64歳男性、67歳女性でそれぞれ別の家系に所属するHHT症例も発見した。さらに28歳男性でHHTに肺動静脈奇形および脳動静脈奇形を合併した致死症例について報告した(塩谷他、日本胸部臨床、2005)。 HHTに合併した肺動静脈奇形に対する呼吸リハビリは、そのプログラムがないことより実際には行われていない現況にある。また、肺動静脈奇形に対して肺動脈塞栓術が施行された後の呼吸リハビリ・プログラムも示されていない。佐竹は、高齢COPD患者に対する運動療法プログラムを考案した(佐竹他、COPD FRONTIER,2006)。上述の55歳男性HHT症例に対して佐竹の呼吸リハビリ・プログラムを施行したところ非常に有用で患者は通常の日常生活に復帰した。この呼吸リハビリ・プログラムはHHTに合併した肺動静脈奇形に対して応用可能であると考えられた。
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