研究課題
好塩基球は、末梢血白血球のうちわずか0.5%を占めるに過ぎない最小細胞集団で、その役割に関してはよくわかっておらず、好塩基球がマスト細胞とは別の細胞系列として存在する生理的意義はわかっていなかった。ところが最近になって、活性化された好塩基球が、アレルギーに関与するTh2サイトカイン(IL-4やIL-13)を即座にしかも大量に分泌することが判明し、にわかに注目をあつめるようになった。しかし、好事基球のみを欠損した実験動物が存在しないこともあって、好塩基球に特有の機能に関しては、まったく報告がなかった。我々は、昨年度までの研究で、抗原特異的IgEトランスジェニックマウスあるいはIgEで感作した正常マウスに多価の抗原を皮内投与すると、典型的な即時準アレルギー性皮膚腫腫脹(即時相と遅発相)に引き続き、強い好酸球浸潤を伴う慢性型の皮膚腫脹が誘導されることを報告した。この慢性アレルギー炎症には、T細胞やマスト細胞は必要ないが、好塩基球が必須であることをっきとめ、新たなT細胞非依存的慢性アレルギー炎症反応誘発機構が存在することを明らかにした。これまでマウス好塩基球特異的モノクローナル抗体が存在せず、好塩基球の研究が進展しない障害のひとつであった。そこで、線虫を感染させたマウスの骨髄から好塩基球を調製し、ラットに過免疫することで、好塩基球特異的モノクローナル抗体を樹立した。この抗体をマウスに全身投与したところ、好塩基球数の著しい減少が観察され、さらに上記の慢性アレルギー炎症が完璧に抑制された。このことは、好塩基球が慢性アレルギー炎症の責任細胞であることを証明するとともに、好塩基球を標的とした新たな慢性アレルギーの治療の可能性を示すものである。
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