研究概要 |
1.組換Der f 1/Der p 1のプロテアーゼ活性に依存したIgE産生誘導現象の実在の証明 近交系マウスに投与する系で簡便にかつ比較的短期間の投与で高濃度のIgE産生を誘導できる実験系を構築した。血中抗体濃度アッセイ系及び免疫動物の脾臓細胞を使用したin vitroリンパ球刺激実験系を構築した。本年度はアラムを用いた腹腔内投与の系を採用した。これらの系を利用して、組換Der f 1及びDer p 1の免疫におけるIgE誘導が自身のプロテアーゼ活性に依存することを、不可逆的システインプロテアーゼ阻害剤E-64で処理した組換体との比較によって示した。組換Der f 2及び卵白アルブミンでは、阻害剤処理による影響は見られなかった。有意差及び再現性を確認し、本現象の実在を明瞭に示した。 天然型Der p 1の阻害剤処理の効果を検討した過去の報告(Gough et al.,J Exp Med,1999)ではIgE産生が約1/3-1/2程度までしか低下せず、IgG産生には影響がないのに対し、我々の系ではIgE誘導能がほとんど消失しており、IgG産生にも顕著に影響した。本実験系は組換Der f 1/Der p 1のシステインプロテアーゼ活性に依存するIgE/Th2誘導現象の解析に非常に有用であると考えている。 2.プロテアーゼ活性を修飾した改変体の発現、調製条件検討、及び諸性質の予備的解析 プロテアーゼ活性の触媒中心等に変異を導入した変異体を設計し、組換体の発現及び精製を行い、次年度以降の実験の準備を整えた。一部、検討を開始し、阻害剤処理と同様の明瞭な結果を得た。
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