研究課題/領域番号 |
16616010
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研究機関 | (財)東京都医学研究機構 |
研究代表者 |
矢倉 英隆 財団法人東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 参事研究員 (60166486)
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研究分担者 |
一ノ渡 学 財団法人東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 研究員 (00360701)
MISHRA Kanchan Kumar 財団法人東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 研究員 (10360702)
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キーワード | プロテインホスファターゼ / PTP-PEST / PTPε / マスト細胞 / FcεRI |
研究概要 |
今年度は、PTP-PESTとPTPのマスト細胞活性化における役割について解析し、以下の結果を得た。 (1)PTP-PESTによるマスト細胞活性化の制御 PTP-PESTは、N-末に1個の酵素領域を持ち、C-末にPEST領域(プロリン、グルタミン酸、セリン、スレオニンに富む)、プロリンに富む領域を持つ非レセプター型のPTPである。PTP-PESTのマスト細胞活性化における機能解析のために、PTP-PESTの野生型、基質トラッピング型(不活型)をレトロウイルス発現ベクターに組み込み、ラットマスト細胞株RBL-2H3細胞に導入後、ソーティングにより98%の導入細胞を得た。これらの細胞を用いてFcεRIを介する活性化過程を解析したところ、PTP-PESTは脱顆粒には関与しないが、TNFαの産生を正に制御すること、初期のタンパクのチロシンリン酸化には関与しないが、カルシウム反応、MAPキナーゼ(ERKとJNK)の活性化を制御することが明らかになった。さらに、トラッピング型PTP-PESTはFcεRI架橋前からに2つの分子(110kDa、60-65kDa)と結合しており、PTP-PESTの機能に重要な役割を担っている可能性が明らかになった。現在その同定を進めている。 (2)PTPεによるマスト細胞活性化の制御 PTPεは1つの遺伝子に由来する4つのアイソフォームを持つ。この酵素のマスト細胞での機能について、PTPεノックアウトマウスの骨髄細胞から樹立したマスト細胞を用いて解析した。その結果、PTPεはFcεRIレセプター架橋後の総蛋白のリン酸化には影響を与えないが、カルシウム反応、MAPキナーゼ(JNK、p38)の活性化、脱顆粒およびサイトカイン発現を負に制御する酵素であることを明らかにした。現在、その詳細な作用機序と生体内におけるアレルギー反応への関与についての解析を進めている。
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