研究概要 |
本研究では、本邦におけるアレルギー疾患発症に関わる環境因子の調査(疫学研究)、および環境因子のアレルギー疾患発症抑制の機序の解明(基礎研究)を行い、それらを元にしたアレルギー疾患の発症しにくい環境の提言と、今後期待されるアレルギー疾患の発症予防するワクチンの開発のための基礎的検討を行うことを目標とする。 疫学研究:広島市の全小学2年生の保護者を対象として、質問紙法を用いたアレルギー疾患の発症の有無と生育歴、生育環境に関する調査を平成17年1月に行った。現在、集計および統計学的な解析の途中である(対象児童数11,163名、有効回答数9,975、有効回答率89.4%)。後方視的な方法であるが、ロジスティック回帰分析を行うことにより、どのような環境因子がアレルギー疾患の発症に影響しているかについての基礎的な知識を得ることが出来ると考えている。引き続き来年度、本格的な解析を行う。 基礎研究:健常成人ボランティア末梢血を用いて、自然免疫系において最も重要な役割を演じると考えられるToll-like Receptor(TLR)のligandであるpeptidoglycan、Poly I : C、lipopolysaccharide、flagellin、R-848、CpG含有oligonucleotideによる刺激によって誘導される遺伝子群をMicroarrayを用いて網羅的に解析した。その結果、自然免疫系の活性化がTh1型免疫応答を誘導する経路として、IL-12の産生を介してIFN-γの産生を誘導するする経路、CXCR3 chemokineの産生を介してTh1細胞やNK細胞を局所に誘導する経路、I型IFNの産生を介して直接T細胞のSTAT4を活性化する経路、Co-stimulatory分子の発現を介してTh1型の分化を誘導する経路などが存在する可能性が示唆された。
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