研究課題
企画調査研究として特定領域研究申請の計画立案を課題とし、2004年7月に研究分担者を中心とする企画会議を開催、その合意内容にもとづいて総勢136名の研究者を組織して、11月に「東アジアの海域交流と日本伝統文化の形成-寧波を焦点とする学際的創生-」と題する申請調書を提出した。この領域研究では、東アジア海域における人的・物的交流の歴史を多分野横断的に分析し、日本の伝統文化形成過程を再検討することを目的とする。具体的には、中国大陸において東シナ海に面する中核的港湾都市として栄えた寧波(ニンポー)を焦点に、歴史的存在として不断に変化する大陸文化がそれぞれの時点においてどのように日本に伝来し、どう影響を与え、どう変容してきたかという問題を検討する。領域研究の特徴として、(1)海域から見た文化交流の検討、(2)研究対象として国家単位でなく地域に注目、(3)東アジアのなかでの日本伝統文化形成の過程、(4)さまざまな学問分野の協働による新領域の創生、といった諸点を打ち出すことにした。如上の経緯をふまえ、別途進めていた共同研究の成果報告も兼ねて、2005年1月に国際シンポジウム「伝統中国の日常空間」を二日間にわたって開催し、13本の報告論文を掲載した予稿集(総頁260頁)を作成して、百名を超す来会者を得て活発な意見交換をおこなった。また、その翌日には、引き続き国際ワークショップ「歴史をかたちづくるもの-地方史料の形成と意図」を実施した。