研究課題/領域番号 |
16639013
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
陣内 逸郎 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (70162823)
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研究分担者 |
松田 晃 埼玉医科大学, 医学部, 助教授 (10219438)
朝長 万佐男 長崎大学, 大学院・医歯薬学研究科, 教授 (40100854)
岩永 正子 長崎大学, 大学院・医歯薬学研究科, 助手 (00372772)
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キーワード | 骨髄異形成症候群 / 不応性貧血 / 急性骨髄性白血病 / IPSS / 血球減少 / 予後因子 / 形態異常 / 民族差 |
研究概要 |
不応性貧血refractroy anemia(RA)は骨髄異形成症候群(MDS)の病型の一つであるが、臨床像・予後は極めて不均一な疾患であり、民族的な違いもいわれている。今回、日独症例の比較検討を行った。 [対象]埼玉医大および長崎大で1976-1997年に診断された全RA 131例、ドイツ・デュッセルドルフ大で診断された1973-2002年に診断された全RA 597例を対象とした。追跡期間は日本1-292ケ月(中央値69ケ月)、ドイツが0-313ケ月(中央値13ケ月)であった。 [診断一致率]日独の施設よりランダムに選出した129例(RA 110例、鉄芽球性貧血7例、再生不良性貧血12例)の標本を検鏡し、98.4%で診断が一致した。日独間で形態診断の判定にほとんど差がないことが確認された。 [日独RA臨床的差異]年齢中央値は日57歳vs独71歳(p<.0001)。二血球減少もしくは汎血球減少例(MDS国際予後判定システムIPSSの基準であるHb 10g/dl未満、好中球1,500未満、血小板10万未満をみたす)の比率、日68%vs独37%(<.0001)。染色体異常例の比率、日29%vs独51%。累積白血病進展率、日12.1%vs独40.4%(p<.001)。生存期間中央値、日175ヶ月vs独40ヶ月(p<.0001)。生存期間中央値、日175ヶ月vs独40ヶ月(p<.0001)。 [予後因子]年齢、染色体異常は日独例とも予後不良因子となった。しかし、血球減少はドイツ例で予後不良因子となったが、日本例ではならなかった。血球減少にスコアがあるIPSSは、ドイツ例には極めて有用であるが、日本例の予後判定には当てはまらなかった。 [結論]日本例にはドイツ例と比較し、若く、血球減少が高度であるが、予後がよいという症例が多い。日本例の予後判定にはIPSSは適応できず、日本例に有用なシステムが必要である。
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