メタ計算は、メタ節の集合を等価に変換する計算である。メタ節はメタアトムからなる。メタルールをメタアトムにマッチさせ、それを別のメタアトム(集合)に変換するシステムが構築された。メタ計算は非決定的であり、「どこのメタアトムにどのルールを適用するか」によっていろいろな計算が可能である。適切な変換の道筋を選べば、与えられたメタ節は十分簡単化され、よいルールを生み出すことができるが、適切な道筋から外れると、メタ節は簡単なものにはならず、よいルールは得られない。そこで、道筋の選択方法とメタ計算結果の関連を調べるために、具体的なメタ節とそれを変換するメタルールが与えられたときに、どのような基準でメタアトムとメタルールを選べば、どのような結果が起こるかを実験的に調べ上げるシステムを構築した。 このシステムを用いて、実験を行ない、メタアトムとメタルールの選択を指定する方式の検討を進めている。その過程で、本システムが多様な実行をシミュレートしながら行っているために、実行速度が十分でないことが問題となり、新たに、プログラミング言語ETのレベルで多分岐実行を行えるように、ETの拡張を行った。これはワールド機構と連携した方式であり、これを用いることにより、最終的なプログラム生成システムでも高速実行が期待できるようになっている。さらに、システムの実用性を高めるために、ET言語のコンパイラやプログラム変換システムが構築された。この実験装置で得られる知見をもとに進化的探索の有効性を確認する研究は次年度に本格的に行う予定である。
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