研究概要 |
本研究は,代表者らが研究開発してきたデータ駆動ネットワーキングプロセッサに関する研究成果を最大限に活用して,最近,情報通信分野にて特に注目を集めている通信・放送環境の統合的な実現のためのプロセッサアーキテクチャを確立することを主たる目的としている. 研究初年度である今年度の成果は,以下のようである. 本研究で取り上げているデータ駆動ネットワーキングプロセッサは,データ駆動原理に基づく並列実行方式を採用するともに,スーパースカラ方式を可能とするハイブリッド型実現されているため,以下のような特徴が,通信・放送環境の統合的な実現に,有効となることがわかった. (1)実行に必要なデータが揃ったオペレーションは相互独立に並列実行可能というデータ駆動原理に従って動作するため,ノイマン型プロセッサによる擬似的多重処理にみられる並列実行時のコンテクストスイッチオーバヘッドが全く生じない非常に高い実時間多重処理能力を発揮する. (2)この実時間多重処理能力を維持したまま,ネットワーク処理に不可欠となる時間・順序依存処理を高効率に実行できる. (3)自己同期型実現されているため,待機時の消費電力が極小化される. (4)データの到着というイベントに素直に反応する受動的動作モードによって,非常に高い実時間応答性を示し,例えば,不当なアクセスの検出時の実行停止・再開が忠実に実時間実現できる. 特に,最後の特徴である実時間応答性については,現在緊急の課題となっている安心・安全な情報通信環境の実現に非常に重要な要件になると予想されるため,実時間常時認証処理のデータ駆動型実現法などへの応用を含めて,次年度に重点的に検討を加え,通信・放送環境のための自己同期型データ駆動ネットワーキングプロセッサアーキテクチャを確立したいと考えている.
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