研究概要 |
ITSの普及に伴い,都心の道路など多数の車が利用する道路では路側に通信用基地局などのインフラを整備し,渋滞情報などの収集を行っている.一方,利用頻度の少ない道路で事故などの発生によって生じる局所的な渋滞情報や,冬季の峠道での路面凍結情報などをリアルタイムで配信するために,このような通信用基地局などのインフラを整備するのは現実的でない.このような場合,無線LANのアドホック通信機能などを用いて先行する自動車Aが自身の位置情報と進行方向,走行速度,降雨状況や路面の凍結情報などを組(「自動車Aの走行情報」と呼ぶ)にして一定間隔で周りにブロードキャストし,この情報を受信した対向車線の自動車Bが自身の走行情報と共に自動車Aの走行情報(「対向車線情報」と呼ぶ)も一定間隔でブロードキャストすれば,自動車Aの後ろを走る別の自動車Cに自動車Aの走行情報を伝えることができる.その結果,自動車Cの自動車AやBの走行した地域周辺の渋滞情報や路面凍結情報などを取得できる.先行する自動車の走行情報を複数個取得することで,数キロ先までの複数経路の道路情報を把握できる.本研究では,このような目的のための車々間プロトコルの開発を行う.今年度の研究では,数千台程度の現実的な自動車の交通流を再現し,走行情報の送信間隔や中継する対向車線情報の個数などを変化させることでどの程度の先行自動車の走行情報を取得できるかのシュミレーションを行い,走行スピードと走行情報の送信間隔などの関係を分析し,各車の走行スピードとその車が一定時間に交差した対向車の数などのパラメタに対し,最も走行情報の伝搬確率の高い送信間隔と中継する対向車線の走行情報数などの関係を抽出し,その値に基づくアドホック通信プロトコルを開発し,その結果を11th World Congress on ITS (2004)などで発表した.
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