研究概要 |
平成16年度は,次のように研究を行った. 1.半構造データストリーム変換の定式化:インターネットにおける現在の半構造データストリームの利用形態を分析し,オンライン型半構造情報変換システムに必要な半構造データ処理機能を洗い出し,Xquey pathパターンの部分族であるXmatch言語を設計した(有村・坂本).また,半構造データに対する圧縮法や索引に必要な機能の洗い出しもおこなった(坂本). 2.ストリーム指向半構造パターン変換技術の開発:このXmatch言語を対象に,テキストの一方向逐次走査に基づくパターン照合技法に基づいたXmatchシステムを開発した.これにより,データストリームを左から右へ一方向逐次走査しながら,与えられたXPathパターンの出現を検出し,変換テンプレートを用いたオンライン再構成を行なう高速な軽量パターン変換を実現した.また,このために,ASAX (Alternative SAX)と呼ぶ,新しいXMLテキスト走査技術を開発した.結果として,実際の大規模XMLデータをもちいた従来の主記憶にデータ木を展開するタイプのXpath処理系に対して10数倍以上の高速化と著しい記憶効率の改善を得た.さらに,ASAX技術の導入により,同種のストリーム指向Xpathパターン照合システム(XSQ)に対しても2倍から4倍程度の高速化を達成した.本技術はその独自性と有効性を高く評価され,本グループによる和文発表の第一著者が情報処理学会山下記念研究賞をH16年11月に受賞した(有村). 3.最適化技術を用いた高効率圧縮アルゴリズムの開発:最適圧縮率に対して,理論的に性能評価をもつ線形時間文法圧縮アルゴリズムを開発した.この種の圧縮アルゴリズムは,Sequiturアルゴリズム等,半構造データからの情報抽出や圧縮と密接な関係をもつ.また,半構造データに対する検索可能な圧縮索引についても成果を得た(坂本).
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