研究概要 |
図形を構成する形状的視点から図形の特徴を用いて図形形状を抽出する「図形認識」から、図形が表す意味的視点から図形内容の知識を用いて図形的意味を把握する「図形解釈」を目指している。このような動機の下に、本研究課題では棒グラフ、折れ線グラフのように観測データ、測定データなど、時系列的に変動するデータを表した図形を対象として,その図形が意味する情報を解釈する手法について検討してきた。もちろん、棒グラフ、折れ線グラフには必ずしも時系列特性でないものも利用されているが、ここでは検討の対象外としている。 データベースや知識科学の分野でも、近年時系列データを対象に研究テーマ「データ発掘」に対応しているが、これらの分野で扱っているのは、平滑化されたデータ(サンプリングされたデジタル・データ)であり、時系列データからその変動特性を抽出することに焦点を当てている。例えば、店舗の売上げ情報から在庫品管理、購入物品処理などの適用業務への応用を想定して検討されてきた。 本研究課題では、直接観測データ、測定データを入力とし、スムージング、エンコーディング、セグメンテーション、マッチングという手順を経て対処している。特に、スムージング及びエンコーディングは時系列データそれ自身の処理に大きな影響があり、データベース、知識科学の分野のようにデジタル・データを対象とするのではなく、アナログ・データを対象としていることが特徴的である。また、アナログ波形を如何にその意味的特徴を踏まえて解釈するかを視点としている。今年度は入力時系列データに対して、入力波形を手順化し、そこから特定形状パターンを検出する手法を構築できた。特に、観測データ波形には、高周波と低周波があり、高周波の一時的特徴に対して低周波時系列データは大域的な特徴を表している。低周波成分を平滑化によって効果的に選別する手法を提案した。
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