研究概要 |
平成16年度は,以下の2項目について研究した. (1)薬名間の類似性指標の設計(竹田,篠原) (2)類似性指標の検証(澤田,大谷) (1)においては,医薬品商標名間の類似度を定量化することを目指し,類似性指標を設計した.各パラメータを決定するため,研究室現有のタキストスコープ装置を用いて視覚および聴覚に関する知覚誤りの実験を行った.得られたデータに機械学習アルゴリズムを適用しパラメータの学習を行った. (2)においては,日本薬剤師会などから報告されている「取り違え事例や,澤田らがインターネット上に運営している薬剤師間コミュニティーサイトに寄せられた事例の医薬品等をもとに,(1)の類似性指標の妥当性を検証した. また,(1)(2)の成果をもとに,類似薬名検索方式の開発すなわち,与えられた医薬品名に対して高い類似度を示す医薬品を,医薬品データベース中から高速に検索するための索引構造とアルゴリズムを開発することを目指し,そのために不可欠な基礎的研究を行った. 以上により,従来指標を上回る精度をもった医薬品名類似性指標を新たに開発することに成功しており,研究進捗状況はきわめて順調である. また,大量の処方箋データに基づいて,医薬品の処方学的関連の度合を数量化した,処方関連度辞書の構築を行い,(1)の類似度とあわせて用いることにより,実事例の処方において薬名の取り違え候補を検出するための処方チェック方式を開発することが課題である.
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