研究概要 |
初年度は,人間と共生・協調できるロボットに必要な要件を検討し,安全性・心理的親和性の見地から「メカニカルソフトネス」をもつクローラロボットの仕様を検討した. そのための要素技術として,可変コンプライアンスモジュールを設計・試作し,その動作を確認した.このモジュールはクローラのすべての関節に装着され,各関節の柔らかさを制御するものである.各モジュールは,剛性源として,薄鋼板でできた両端支持の単純はりを内蔵しており,関節の回転角を直動変位に変換するラックピニオンギアと,単純はりそのものをモーター駆動によりスライドさせて,回転力が加わる位置を可変とする機構をもつ.はりに曲げ力を入力する位置を制御することで見かけ上のねじり剛性を制御できるしくみとなっている.特性評価実験の結果,最もやわらかいときにくらべて1.7倍程度の剛性変化が十分可能であることを確認した.また,各モジュールの制御にはPICコントローラを用い,シリアル通信によりそれぞれの目標値に対する制御を行う. クローラの回転運動生成アルゴリズムを検討するために,物理シミュレーションライブラリODEをもちいて10関節の動力学モデルを構築し,コンプライアンス分布制御の検討をおこなった.その結果,簡単な接地センサーのみにより,接地部位との相対的な関係によりコンプライアンスを制御すれば,平地の走行および段差の乗り越えが可能であることがわかった.
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