研究概要 |
本年度は,幾何学的運動から弾道学的運動へと遷移するための習熟過程のモデル化とそれを実現する制御則について検討した.また,実機での検証に向けて実機の製作を行った.主な研究実績は以下のとおりである. 1.拮抗する空気圧アクチュエータを持つ二足歩行ロボットの試作 拮抗する空気圧アクチュエータによって関節を駆動する.10自由度二足歩行ロボットを試作した.10自由度を有するため,空気圧アクチュエータの総数は20本となった.外界を観測するためのセンサとして,足裏に片足あたり8つの接触スイッチ,両側で16個のスイッチを取り付け,歩行の際の信号がどのように計測されるかを調べた.流入するガスの量を制御するON/OFF制御弁とそれを制御するコントロール用コンピュータを搭載し,また圧力供給源としてCO_2ボンベもロボットに搭載することにより,完全自立を目指した. 2.試作した二足歩行ロボットによる歩行実験と,学習制御則の検討 また,あるセンサが反応してから一定時間後に足を振り出すアクチュエータに空気を送るという単純な制御則によって16歩以上の歩行を実現した.また,センサが反応してから足を振り出す時間を変化させ,歩行が成立しているときに,この変化が歩行全体にどのような影響を及ぼしているかを調べた.その結果,これらの時間の間には正の相関があることが確認された.この相関を利用して歩行周期の安定化制御を図ったが,フィードバックをかけることによるロボット全体の不安定化を招き,必ずしもよい結果が得られなかった. 3.シンポジウムに参加し研究の打ち合わせ マドリッド(スペイン)で行われるCLAWAR 2004 (International Symposium on Climbing and Walking Robots 2004)に参加し,空気圧アクチュエータに弾道学的制御を適用し,受動歩行ロボットを作成,実験を進めているデルフト大学の研究グループほかと研究打ち合わせを行った.
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