研究概要 |
本研究では,誤差を離散化誤差と観測誤差とに区別して扱うという着想に基づき,離散化誤差が存在することを前提として,幾何特徴に関する多視点画像間の関係を明らかにし,3次元復元に応用することを目的としている.本年度に得られた成果は,以下の通りである. 1.離散化誤差存在下でのカメラパラメタ校正: 3次元復元のためには用いるカメラのパラメタを校正すること必須となっている.連続空間での定式化に基づくカメラパラメタ校正では,内部パラメタ,外部パラメタをともに未知とする未校正画像を用いてカメラパラメタを推定する手法が提案されているが,これに対して,画素を最小単位とする立場に立ったカメラ校正法を検討した.その結果,離散化誤差を許容した枠組では,誤差が内部,外部のパラメタの一方のみに集約される場合,両方に分散して存在する場合,を区別して検討する必要があることが判明した.そこで,まずは,外部パラメタのみの校正法の定式化を行った.そして,外部パラメタの校正問題はパラメタに関する不等式制約の形で定式化が可能であり,その解法には,凸多面体解析で用いられているフーリエ・モツキンの消去法が適用可能であるとの見通しを得た. 2.離散化誤差を考慮した3次元形状復元手法の高機能化: 昨年度開発した,離散化誤差の問題を避けて距離画像の位置合わせを実現する手法を適用するには,十分よい初期値を選ばなければならないという問題があった.そこで,本年度は,この問題を解決する,距離画像のおおまかな位置合わせ手法を考案した.ここでは,対応づけの組合せの整合性を評価し,整合する対応づけの組合せをできるだけ多く見つけるというアプローチをとった.そして,この問題をグラフ上で表現し,位置合わせ問題をそのグラフ上での組合せ最適化問題として定式化した.本研究での定式化によって,局所解に陥ることなく大域的に最適な解が求まり,よい初期値が得られることが保証される.合成画像や実画像を用いて入念に実験を行い,提案手法の有効性を確認した。
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