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2004 年度 実績報告書

犯罪・暴力行動への情報環境の関与についての精神生理学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 16650049
研究機関(財)国際科学振興財団

研究代表者

河合 徳枝  財団法人国際科学振興財団, 研究開発部, 主任研究員 (50261128)

研究分担者 大橋 力  財団法人国際科学振興財団, 研究開発部, 理事・主席研究員 (90015652)
八木 玲子  財団法人国際科学振興財団, 研究開発部, 研究員 (80281591)
キーワード環境音 / 音響周波数スペクトル / 非定常音響構造 / ストレス / 犯罪 / 暴力 / 生理的指標
研究概要

今日、無差別かつ衝動的な暴力が増加している。また、犯罪にまでは健在化しないが、家庭内暴力あるいは駅や列車内などの公共の場での暴力も著しく増加している。こうした現象は、現代人の心理的なストレスと無縁でないことは言うまでもないが、現代人はきれやすい体質、きれやすい傾向に生理的におかれているかもしれない可能性も検討して見ることは無意味ではないだろう。私たちは、ある種の構造をもった音が人間のストレスを軽減して癒しの方向に導くことをいくつかの生理的指標ですでに発見している。
聴覚は、人間にとって常に受信状態にあり、意識、無意識を問わず音は環境化しており24時間有無をいわさず享受している。私たちは、人間をきれやすくする音環境と安静化する音環境を客観的な指標として示すことができないかを検討することとした。今年度は、まず人間が不快感を生じるであろう都市の音環境と人間が快適性を感じる田園の音環境とを精密に比較検討した。
そのためその典型例として東京の駅前商店・住宅密集地域とインドネシア・バリ島の田園農村地域ならびにボルネオの熱帯雨林の音環境を、150kHz以上の超高周波帯域まで優れた応答特性を有する超広帯域環境音収録システムによって録音した。これを、150kHz以上の超高周波帯域まで計測可能なFFT分析システムを用いて周波数分析するとともに、私たちがオリジナルに開発した最大エントロピースペクトルアレイ法を用いて、微小時間領域における音響振動構造の変化を精密に分析した。
この結果、FFTスペクトルの周波数分布を調べると、東京の環境音は、10kHz程度までの周波数成分に集中しており、高周波成分は皆無であるのに対して、インドネシア・バリ島の田園農村の環境音では、50kHz以上までのびる高周波成分を豊富に含んでいた。さらに熱帯雨林の環境音では、100kHzをも上回る高周波成分を含んでいた。
次に、最大エントロピースペクトルアレイを調べると、東京の環境音は、ときおり突発的な電車や車の音が入る以外ほとんど変化がなく定常的であった。これにくらべて、インドネシア・バリ島の田園農村やボルネオの熱帯雨林の環境音は、スペクトルの形状が微小時間の中で複雑に変化し、非定常で複雑・変容性の大きい音響振動構造をもっていた。これらの音が人間に与える生理的影響を調べるために、次年度に実験モデルを構築して実験を行う予定である。

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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