研究課題
日本での読字障害に関連する遺伝子検索を行うため、正常ボランティアのDNAを採取し、DYX1C1遺伝子検索を行った。フィンランドで報告されている、DYX1C1のElk-1転写因子結合部位変異(-3G-A)ならびにコドン変異(1249G-T)の検出をPCR法により検索するため、増幅効果の高いprimer選択を行った。さらに塩基配列を測定し、primerの可否を判定した。来年度には、明らかに発達性読字障害と診断された児童や学生に対し、DYX1C1遺伝子検索を行う予定である。なお、DYX1C1遺伝子クローニングに関しては、提供者の人権および利益の保護のため、千葉大学教育学部生命倫理委員会に倫理審査申請書を提出しており受理されている。一方、読字機能の神経生理学的検査も平行して行った.正常小学3年生を対象に主にひらがなの読字機能を検索した。ひらがなの1字、2字、4字をコンピューター画面で提示し、口で読み出すまでの反応時間を測定した。読字障害を呈する児童にも同様に行った所、読み間違いは多いながら反応時間には遅れは認めず、障害要因として少なくとも視覚を介しての言語表出上は正常小児と相違ないことが判明した。今後は、これら検査スクリーニングで発達性読字障害を疑われた児童に対し、より精度の高い文字認知検査や視覚認知機能検査を行い、症候学的に発達性読字障害と診断される児童を検出する。ミラノの日本語補習校とも次年度に向け共同研究を打ち合わせ、日本語かな、カタカナ、漢字、ローマ字読字における脳内認知機構の国際比較を行う予定である。
すべて 2004
すべて 雑誌論文 (2件)
千葉大学教育実践研究 No.11
ページ: 207-219
International Evoked Potential Symposium 8th
ページ: 275