研究課題/領域番号 |
16650054
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
杉田 克生 千葉大学, 教育学部, 教授 (40211304)
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研究分担者 |
下山 一郎 千葉大学, フロンティアメディカル工学センター, 教授 (60115483)
首藤 久義 千葉大学, 教育学部, 教授 (20113897)
野村 純 千葉大学, 教育学部, 助教授 (30252886)
市川 熹 千葉大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (80241933)
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キーワード | 読字障害 / DYX1C1遺伝子 / 読字反応時間 |
研究概要 |
発達性読字障害は成人で見られる脳損傷後の2次的読字障害と異なり、日本での認識が乏しく、日本語における発達性読字障害の原因はほとんど未解明である。家系例も報告されており、フィンランドではDYX1C1遺伝子が候補として報告されている。また、病態機序の電気生理学的研究は乏しいが、アルファベット文字の視覚認知障害、視覚情報を音韻処理する過程の異常などが報告されている。そこで、日本におけるDYX1C1遺伝子のElk-1転写因子結合部位変異(-3G-A)ならびにコドン変異(1249G-T)の有無の検出をおこなうため、ペプチド核酸を用いることによる、一塩基多型簡易スクリーニング方法の開発を試みた(千葉大学教育学部紀要2005)。発達性読字障害の臨床症状がない正常ボランティアのDNAを用いて簡易スクリーニングを行った結果、DYX1C1遺伝子のElk-1転写因子結合部位変異とコドン変異がない場合は検出することが可能であった。また、発達性読字障害を有する男児1名のDYX1C1遺伝子のElk-1転写因子結合部位変異(-3G-A)ならびにコドン変異(1249G-T)の有無を簡易スクリーニングによって検出した結果、変異はなかった。今後、DYX1C1遺伝子異常が日本における発達性読字障害の原因の一つとして挙げられるかどうか、大規模時間検査を施行した。対象はイタリア在住の日本語・イタリア語バイリンガル児童(小学3年生)と比較対照のため日本の小学3年生との比較を行った。前者では統計的に有意にひらがな読字反応の遅延を認める一方、ローマ字では遅延はなく、生後の学習、生活環境が及ぼす後天的影響が示唆された(International Medical Journal in press)。
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