平成16年度は、主として新しい検査法の作成と実施、従来の検査法との相関関係調査を行った。 まず、現在保有している談話分析関係や認知症検査法関係の図書(現有設備)及び新たに購入する図書(主要設備)を研究しながら、研究協力者(前田敏彦氏:現在山口大学病院神経科勤務)と共に国内の認知症検査や訓練法の現状を調査し把握した。 次に、新しい検査法(K式検査法)開発に向けて、被検査者の談話分析の方法(談話においてどのような指示詞の使用を不適切な使用と見なすかを詳しく定義すること、指示詞の不適切な使用の頻度の計算方法を確立することなど)を作り上げた。検討の結果、当初考えていた、不適切な「あれ」などの指示詞だけでなく、不必要なつなぎ言葉などの冗語の使用、発話のスピード(発話までの間)なども分析の判定材料に組み込むこととした。 この方法に基づいて、山口大学病院及びその関連病院における認知症患者(アルツハイマーや脳血管性認知症)に対してK式検査法及び長谷川式検査法などを研究協力者の協力を得て実施し、認知症の程度と不適切な指示詞の頻度などとの関係を調べた。また、両検査法に基づく被検査者(認知症患者)の評価の相関関係を調べた。 一方、健常者に対してK式検査法を実施し、年齢別、性別、学歴別などの要因と不適切な指示詞の頻度などとの関係を調べた。 ここまでの研究活動で得られた知見を日本認知科学会で発表する予定である(発表申し込み済み)。 ※本研究では、被検査者の同意・協力やコンセンサスを得て、検査や訓練を実施する必要があった。そこで、研究協力者の指導を仰ぎ、被検査者の人権及び利益を保護するために取りうる全ての対策を講じた。また、検査結果などのデータの守秘義務についても徹底した。
|