研究概要 |
近年,電子化された計測・測定技術の進歩によって科学の諸分野で現象過程の連続的な計測・測定と大規模なデータの蓄積を可能とした.この結果,システム工学,地球・環境科学,生命科学などの分野で,複数の特性を経時的に測定した動作過程の多次元データや時間的に変化する空間データの情報が日々大量に蓄積され,データベースとして組織化されつつある.このような大規模多変量時系列データや時空間データから有益な情報やパターンを抽出するための新しい分析手法の開発を目指して研究し,本年度は以下のような成果を挙げた. (1)本研究では,各対象に対して計測・測定された多特性経時的データをどのようにして多変数関数化処理法を行うかが重要な問題となる.このため,ウェーブレット,ガウス型およびthin-plate spline動径基底関数に基づく多変数関数化について研究し,正則化基底展開法の基礎理論を構築中である. (2)個体差を伴う多数の経時的データの多変数関数化と関数化データ集合に基づくモデリングを同時に行う場合に本質的なモデルの評価法について研究し,特に,ベイズの観点からモデルの良さをどのように評価するかを研究し,関数データ解析の枠組みで一つのモデル評価基準を導出した. (3)開発した多変数関数データ集合に基づくモデリング手法の重要な応用研究として,ヒトの神経活動に伴う信号変化を捉えた磁気共鳴機能解析,ゲノム解析における細胞周期データの分析,生物工学における人体の歩行の仕組みとロボット研究などへの応用研究を推進中である.
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