研究概要 |
今年度は、4月より稼動を開始した7Tの実験用の高磁場NMR装置を用いて、炭素-13グルコース高速脳内代謝マップを観測するためのパルスプログラム、データ処理プログラムの製作、信号検出RFコイル、信号フィルターの製作といったソフト・ハード面でのインフラの整備に取り組んできた。7TというNMR装置の高磁場化に伴う、観測周波数の上昇のため、RFコイルの製作は非常に困難であったが、試行錯誤を繰り返し、ようやくラット頭部に適用できる^<13>C,^1H-二重同調容積コイルを完成させた。ソフト面では、^<13>Cグルコースおよびその代謝産物の^<13>C化合物の脳内マッピングを行なうために、^1Hデカップルを組み合わせた^<13>C化合物の検出プログラム、高感度検出のための^1H-検出^<13>C-NMR法、高速代謝画像構築のためのエコープラナースペクトロスコピー法など独自のパルスプログラムを順次整備して、先に準備したRFコイル、フィルターと組み合わせ、^<13>C化合物の標準試料を用いて、NMRデータの収集とデータ解析を開始した。ここでも、高磁場化に伴い、NMR信号の測定感度は向上するものの、観測周波数帯域の拡大、緩和時間の変化、磁場の均一性の調整の難しさなど種々の問題に直面し、2Tの実験用のNMR装置で経験していた測定法、測定条件をそのまま応用することはできず、7Tの特徴を活かした、有効な測定条件の検討とソフト・ハードの更なる改良に取り組んでいるところである。一方、ラットによる動物実験について、実験プロトコールを設定し、学内動物実験委員会による承認を取り付け、NMR環境が整い次第、直ちに動物実験を行なえるよう準備を整えた。
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