研究課題/領域番号 |
16650077
|
研究機関 | 九州保健福祉大学 |
研究代表者 |
定金 豊 九州保健福祉大学, 薬学部, 講師 (60293304)
|
研究分担者 |
川原 正博 九州保健福祉大学, 薬学部, 教授 (40224828)
|
キーワード | アミロイドペプチド / 異性化 / ジケトピペラチン / アスパラギン酸 / 神経細胞 / アルツハイマー病 / ペプチド合成 / 開裂と閉環 |
研究概要 |
アルツハイマー病は凝集性の高いβアミロイドペプチドが、脳内で長い時間をかけて凝集・沈着することが原因で引き起こされると考えられている。我々はこのペプチド断片が非酵素的に自己開裂および自己閉環することを見出した。本研究の目的は、この自己開裂・閉環がどのような意味をもつのか解明することにある。 まず、試験管内で観察されたこれら現象が生体内でも起こりえるのか検討した。自己開裂・閉環はβアミロイドペプチドの6番目のアミノ酸であるヒスチジンの露出が発端となり引き起こされる化学的現象である。ラット海馬初代培養神経細胞またはマウス不死化視床下部神経細胞の培養液にβアミロイドペプチド断片を静置し、ヒスチジンの露出が起こることを確認した。他の部位でも切断が見られヒスチジンの露出に関わる切断が顕著というわけではないが、本結果により自己開裂・閉環を起こすために必須の現象が細胞レベルで確認された。 閉環型βアミロイドペプチド断片をコンビケム固相合成装置で大量に合成し、それに対する抗体の製作に着手した。6番目のヒスチジンと7番目のアスパラギン酸がジケトピペラチン構造をもつペプチド断片を、アリル基で保護されたアスパラギン酸を用い固相上で製作したが、合成収率がとても低かった。そこで7番目をイソアスパラギン酸で合成したβアミロイドペプチド断片を製作し、試験管内で自己閉環を起こし分離精製する方法で製作した。その結果、数十mgの閉環型βアミロイドペプチド断片を得ることができた。現在ウサギを用いて抗体を製作中であり、アルツハイマー病の有益な診断ツールとなり得ると期待する。
|