研究課題/領域番号 |
16650089
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
吉村 恵 九州大学, 大学院医学研究院, 教授 (10140641)
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研究分担者 |
古江 秀昌 九州大学, 大学院医学研究院, 助手 (20304884)
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キーワード | In vivoパッチクランプ記録 / 大脳皮質 / bursting / 脳波 / GABA / 視床 / 同期的入力 / バルビタール |
研究概要 |
大脳皮質体性感覚野における感覚情報処理機序を明らかにするため、ラットまたはマウスの体性感覚野細胞からのパッチクランプ記録法の確立を目的とした。麻酔したラットまたはマウスを脳脊髄固定装置にセットし、皮膚を切開した後、頭蓋に記録用のチェンバーを固定した。頭蓋骨にドリルを用いて約2mmのホールを開け、パッチ電極を刺入し記録を行った。記録を行った体性感覚野の90%以上の細胞で周期的なburstingが観察された。このburstingは膜電位を変えるとその振幅は変化するものの、頻度には変化がみられなかった。また、グルタミン酸受容体拮抗薬のCNQXによって可逆的に抑制された。さらに、このburstingは呼吸や心拍動とは全く相関を示さなかったが、EEGとは有意な相関を示した。次に、気管内挿管を行いisoflurenで麻酔深度をコントロールすると、低濃度では頻度が増大し、深麻酔下では頻度が低下した。麻酔深度の変化に伴って得られたburstingの頻度の変化はEEGともよく一致した。以上の結果から、burstingは記録細胞自体が持つ性質ではなく外から入力したシナプネ応答であると結論され、さらにEEGの発生と密接に関与していることが推測された。今までの研究から視床は単なるリレーニューロンではなく、末梢からの感覚入力を修飾していることが示されている。そこで、burstingの発生起源として視床を考え、stereotaxicに視床にカニューレを刺入し、GABA_A受容体の作動薬であるmuscimolを微量注入した。その結果濃度依存性にburstingは抑制された。以上の結果から大脳皮質細胞から記録されたburstingは視床における皮質投射ニューロンの同期した入力によって惹起されていると考えられた。視床における同期にはGABAergicニューロンが重要な役割を果たしている可能性が考えられた。本研究で目的とした大脳皮質細胞からのin vivoパッチクランプ記録法はほぼ確立することが出来た。本方法は大脳皮質のほとんどの部位からの記録が可能で、また、小脳や脳幹からの記録も可能であり、今後広い分野での適用が期待される。
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