研究概要 |
【磁性二酸化チタンナノ粒子の創製】 Fe_3O_4を核とし,その周囲を二酸化チタンで被覆した磁性二酸化チタン粒子の作製をナノスケールサイズで行った。ゾル・ゲル法にて作製し,透過型電子顕微鏡にて合成ナノ粒子の表面構造の確認を行った。また二酸化チタン表面への生体分子の配向を考慮して,表面にポリアクリル酸によりカルボキシル基を修飾し,分散性に優れかつ生体分子配向に適した機能性二酸化チタンナノ粒子を作製することができた。 【生体物質の磁性酸化チタンナノ粒子への配向】 ポリアクリル酸によりカルボキシル基を配向した微粒子表面に,N-ヒドロキシスクシンイミド活性化エステル法により,がん細胞を特異的に認識するタンパク質の固定化を検討した。固定化の成否を緑色蛍光を発するGFPの固定化によっても確認した。 【がん細胞への高効率取込み機能の付与】 二酸化チタンナノ粒子を内包するリポソームを作製した。この表面に紫外線によって不活性化したセンダイウイルス膜融合タンパク質を融合することにより,二酸化チタンナノ粒子が短時間でがん細胞内に集積可能となった。さらに二酸化チタンへの超音波照射によってOHラジカルが生成することにより,対照と比較して有意に短時間で細胞死をひき起こすことを確認した。これと並行して,がん細胞に高親和性を有する内因性の化学物質である5-アミノルブリン酸(5-ALA)の固定化も検討した。5-ALAはがん細胞に取り込まれるとプロトポルフィリンIX(PpIX)に生合成され,がん細胞内に高濃度で蓄積する特性を有している。PpIXは波長405nmの励起光を照射すると630nmの赤色蛍光を発することから有力ながん診断法として利用可能である。またPpIXに超音波を照射するとOHラジカルを生成することから細胞の壊死を誘導する事も可能である。
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