平成16年度においては、培養ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を用いて、内皮細胞由来一酸化窒素合成酵素(eNOS)の遺伝子発現に超音波照射がどのように影響するかを検討した。 培養HUVECに対して、ネッパジーン社製Sonitron 2000を用い、周波数1MHzの超音波を、音圧0.1W/cm^2、パルスデューティー比50%で5分間照射した。照射後、30分、2時間、4時間、6時間、および12時間培養したそれぞれの群で、eNOSmRNAの発現をRT-PCR法で検討した。eNOSmRNAの発現量は、解析ソフトにより、β-actinのmRNAで補正された値で評価された。 超音波照射群では非照射群と比べ、照射後30分後と2時間において、eNOSmRNAの増加傾向が認められた。音圧を0.1から0.7W/cm^2と変化させてもこの効果に有意な変化はなかった。この効果に対して、最適な照射音圧やパルスデューティー比ならびに照射時間は現在なお検討中であるが、培養細胞での実験では、音圧が1.0W/cm^2を超えると細胞の生存率が低下することから、in vivoでの検討が必要と考えられた。 現在は、HUVECを用いた同様な実験から、ウエスタンブロットを用いて、eNOSタンパクの発現量の変化を検討するのと並行して、in vivo実験としてラット腎臓で、超音波照射により腎組織内のeNOSタンパクの発現量が変化するかを検討している。
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