研究課題
IT社会における色覚バリアフリー実現を目的とする色表示技術を開発するために、平成16年度は以下の検討を行った。まず、HTMLなどのマークアップ言語による典型的なWebページの色記述について、背景色と文字色に注目し、背景色と文字色の相互関係、文字色と他の文字色との相互関係を表現できるモデルを確立した。次に、この色記述モデルと色覚異常モデルに基づき、Webページ上の色記述を色覚異常者にできるだけ識別容易にする評価関数を設計し、使用色の配色最適化を実現する方法を確立した。最適化には遺伝的アルゴリズム(遺伝子情報の進化による問題解決アルゴリズム)を利用し、Webページ内の色数増加に伴う問題の複雑化にも柔軟に対応できるようにした。次に、最適化によって変更した色をブラウン管モニタ上に正確に表示する手法を確立した。色彩測定装置及び専用ソフトウェアによって高精度カラー表示装置上に表示された色を計測し、測定結果とコンピュータ内部の数値間に存在する非線形な色歪のメカニズムを解明し、これを補正する変換システムを構築してその効果を検証した。さらに、Webページの配色最適化の効果についてシミュレーション及び心理実験を行い、その効果を評価検証した。様々なWebページを使用したシミュレーション実験を繰り返し、遺伝的アルゴリズムにより安定した結果を高速に出力する手法を確立した。また、実際の色覚異常の方々に被験者としてご協力いただき、医師の指導のもとに心理評価実験を行い、色補正の効果を確認した。その結果、提案システムはWebページの配色を色覚異常者にとってより識別しやすい色に変換・表示できることが確かめられた。また、これらの結果に基づき、カラー静止画像に対する色補正・表示のための基礎検討を行った。
すべて 2004
すべて 雑誌論文 (1件)
Proc.IEEE International Conference on Systems, Man and Cybernetics. (CD-ROM)