研究課題/領域番号 |
16650132
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
畠 義郎 国立大学法人鳥取大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40212146)
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研究分担者 |
松浦 一貴 国立大学法人鳥取大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (80314582)
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キーワード | 一次視覚野 / 視神経 / 角膜 / 電気刺激 / 損傷 / ラット / 機能再生 |
研究概要 |
本課題は人工的電気刺激により視機能の維持や回復を目指す試みである。神経活動は神経細胞に様々な細胞内シグナル伝達の変化を引き起こす。その結果、神経突起の伸長や細胞間のシナプス機能が変化することが知られているが、特に注目すべきこととして、視神経の電気刺激により、視神経切断後に生じる網膜神経節細胞の細胞死がある程度減少することが報告されている。このことは、人工的な神経活動により、視機能の保護や回復を誘導できる可能性を示している。そこで、視神経の圧迫損傷をモデルとし、電気刺激による神経活動が、損傷後の視機能低下を防止するか、あるいは損傷後に低下した機能の回復を促進するかを成熟ラットを用いて検討している。 今年度はまず、程度が一定した視神経損傷を動物に与え、さらにその動物より長期間にわたり視覚性誘発電位を記録できる標本を確立した。 視神経損傷のため、麻酔下のラットで、露出した視神経におもりを用いて圧迫を与えた。おもりの重さ、圧迫時間を調節することで、圧迫損傷の程度を定量的に調節することができる。さらに、大脳皮質視覚野上の頭蓋骨に記録用のボルト電極を固定した。これにより同一動物の大脳皮質視覚野より閃光刺激に対する誘発電位を、一週間以上にわたり慢性的に記録し、視神経機能を評価することができる。これまでに、この動物標本を用いて、視覚性誘発電位の大きさが10%以下に減弱するが、完全に消失はしない程度の損傷を安定して与えるプロトコルを確立した。今後は、損傷と同時に視神経に電気刺激を与えることで、視神経機能の低下や回復過程がどのような影響を受けるかを明らかにする予定である。
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