研究課題/領域番号 |
16650134
|
研究機関 | 工学院大学 |
研究代表者 |
笠井 久隆 工学院大学, 工学部, 教授 (80087163)
|
研究分担者 |
米本 恭三 東京都立保健科学大学, 保健科学部, 学長 (80056572)
繁田 雅弘 東京都立保健科学大学, 保健科学部, 教授 (90206079)
井上 順雄 東京都立保健科学大学, 保健科学部, 教授 (50159985)
石崎 泰樹 群馬大学, 医学部, 教授 (90183003)
|
キーワード | 外因性神経突起伸長因子 / Z-LLL-H / 神経幹細胞 / 分化誘導作用 / ニューロン / リアルタイムPCR / Neural stem sphere法 / ES細胞 |
研究概要 |
外因性神経突起伸長因子(Z-LLL-H)はPC12細胞に低濃度で作用して神経突起伸長を誘発するが、本研究ではマウス胚性幹細胞(ES細胞)由来の神経幹細胞を標的としてその分化誘導作用を検討し、再生医療への応用の一助としたい。PCI2細胞が末梢神経由来であるのに対して、用いた神経幹細胞は胚性幹細胞から井上らのNeural stem sphere(NSS)法により調製した、PC12細胞より更に未分化の神経幹細胞であるのが特徴である。既に、Z-LLL-H及び誘導体に関してこの神経幹細胞を形態上は神経細胞へ分化誘導する作用を観察しているので、今年度は先ず、形態的観察に加えて神経系細胞に特異的たんぱく質およびそのm-RNAの発現量を定量することにより、Z-LLL-H処理により誘導された細胞の免疫的・生化学的同定を行った。条件検討により決定した最適条件の下で、48時間Z-LLL-H処理した細胞群(A群)とZ-LLL-H無添加培養細胞群(B群)を比較して、(1)A群の突起伸長細胞ではネスチン発現が減弱し、ニューロン特異的NF-Hが強発現し、グリア特異的GFAPの発現はほとんど認められなかった。また、(2)各細胞群のm-RNA抽出後のリアルタイムRT-PCR定量では、A群ではB群に比べてネスチンとPax6のm-RNAが減少し、NF-Mのそれが2倍以上に増加し、GFAPのm-RNAは減少した。この結果、低濃度のZ-LLL-H添加により上記神経幹細胞はグリア細胞ではなく、神経細胞へ特異的に分化誘導されることが裏づけられた。今後、NSS法と上記外因性因子やその誘導体、既存の神経成長因子などを組み合わせて、生体外で分化誘導した神経細胞の迅速・大量移植の可能性と、内在性体性神経幹細胞の神経細胞への効果的賦活化の可能性について具体的検討を進めたい。
|