研究概要 |
本研究は以下の2つの課題により構成される。 A.遺伝情報などのパラメータが減量の個体差に与える影響力を数値化する。 B.個体差を考慮したオーダーメイド減量プログラムの有効性を検討する。 今年度は課題Aを達成するために,肥満者95名に対する減量介入を実施するとともに,肥満関連遺伝子として111個の遺伝子に含まれる642個の一塩基多型を解析した。さらに,性別,年齢,閉経の前後,形態,体組成,体脂肪分布,体力レベル等を測定した。これまでに構築してきたデータベースに今年度の結果を組みこむことにより,男性51名,女性460名が減量介入試験に参加し,男性44名(86%),女性421名(92%)が3ヵ月間の減量指導と減量前後の測定を完遂したことになる。遺伝子抽出については,男性51名,女性333名のDNA抽出が終了し,そのうち164名分については63個の遺伝子に含まれる188個のSNP解析を終了し,さらに99名分については111個の遺伝子に含まれる642個のSNP解析を終了した。 これまでのデータ解析から,減量の個体差に影響を与える因子として,初期体重,運動療法併用の有無,持久性体力,暦年齢,閉経の前後が挙がっている。さらに,遺伝子解析の結果から,10個の遺伝子に含まれる一塩基多型が関連する可能性が示唆されている。 来年度は不足している男性の減量介入データを蓄積するために,男性100名を対象とした介入研究を実施する。さらに,進行が遅れている遺伝子解析を進め,500名規模のデータセットを用いて,課題Aを達成する。その結果から,課題Bの準備段階として,個体差を考慮したオーダーメイド減量プログラムの作成システムを構築する。
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