研究課題/領域番号 |
16650169
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
豊島 裕子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (70328342)
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研究分担者 |
木村 直史 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (80138742)
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キーワード | ストレス / 事象関連電位 / P300 / 耐性 / ノルアドレナリン / ACTH / 血小板自然凝集 / レーザー散乱光粒子測定法 |
研究概要 |
2年目の研究目的は、本課題の目指す総合的ストレス耐性評価法開発に向けて、ストレスに対するP300潜時の変化と、その他のストレス指標変化の関連を検討した。 若年健常男性12人(22.5±2.0歳)を対象に、初年度の基礎実験で、ストレス負荷法と決定した3分間暗算負荷を行った。負荷前後に、P300を記録する他、われわれが独自に開発した、血管運動神経機能を指標とした自律神経機能検査法、血中ストレス関連ホルモン、血小板凝集能を測定した。 (1)3分間暗算負荷で、血中Noradrenalineが有意に増加したが、Adrenalineに有意な変化は認めなかった。ACTHは負荷前にむしろ高値で、負荷後有意に低下した。Cortisolに有意な変化は認めなかった。 (2)暗算負荷で、血小板自然凝集能が有意に亢進した。 (3)これらの変化は、P300潜時の変化とは有意な関係を認めなかった。 初年度の実験より、ストレス負荷に対して、事象関連電位P300潜時が短縮する症例が存在することが確認できたが、本年の研究では、血小板凝集能変化する症例が存在することがわかった。心筋梗塞、脳梗塞などはストレス関連疾患と呼ばれ、その発症にストレスの関与が疑われていて、発症の引き金は血小板凝集塊の形成と言われている。今回の実験で、そのメカニズムを再現することができた。しかし、この現象とP300潜時の短縮に明らかな関連がなかったことより、ストレス耐性は、ストレス伝達経路の部位ごとに個体差があり、個体ごとに、「弱い部分」があることが示唆された。 また、従来よりストレス関連ホルモンとして測定されているものの中に、ストレス負荷事態で増加するものと、ストレスに対する予期・不安などで増加するものがあることが示唆された。
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