研究概要 |
本邦において、女性の平均寿命が83歳を越え、閉経後女性人口が急増している。更年期の女性は、卵巣から分泌されるエストロゲン量の急激な減少の結果、更年期症状を示す。そこで、このような閉経後女性のquality of life (QOL)の改善と更年期の諸症状を緩和させるかどうかを本研究の目的とした。 平成16年度は、雌Zuckerラットの卵巣を摘出し、高脂肪食を摂取させることにより、更年期のモデルラットを作成することを試み、卵巣を摘出したラットの血清エストロゲン量の低下を経時的に確認して、更年期モデルラット作成法を確立することができた。 一方、申請者は、これまでに、前脂肪細胞である3T3-L1細胞をインスリンにて脂肪細胞へと分化させる際に、緑茶含有カテキンの種類によって、脂肪細胞への分化と細胞内脂肪粒の合成を促進するカテキンと、脂肪細胞への分化と細胞内脂肪粒の合成を抑制するカテキンが存在することを明らかにしている。 そこで、平成17年度は、確立した更年期モデルラットを使用し、脂肪蓄積を促進させる緑茶カテキンを投与することで、更年期モデルラットの脂肪組織重量が増加するかどうかを確かめた。 その結果、コントロール群と緑茶カテキン投与群との間に、摂食量、飲水量の有意な差はみられなかった。また、体重増加量をコントロール群と比較しても、ほぼ同様の傾向を示した。 しかしながら、コントロール群と緑茶カテキン投与群の子宮周囲脂肪組織重量に有意な差がみられたことから、緑茶カテキンの投与が、子宮周囲の脂肪組織重量に影響を及ぼす可能性が示唆された。 以上の結果を総合すると、緑茶カテキンの投与は、体重に反映するほどの増加ではないが、脂質代謝を変化させていることが明らかとなった。この事実は、前述した我々の脂肪細胞での結果(Mochizuki et al., 2004)を裏づけるものであった。
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