研究概要 |
最近,本邦では健康寿命の延長を目的とした高齢者向けの筋力トレーニングの開発が重要視され,多くの高齢者が実践している。しかし,その評価法は筋力測定程度である。筋力は手軽に測定することができるが,高齢者の場合,骨折等のリスクを無視することはできない。そこで我々は,これまでに市販の超音波診断装置を用いて体肢横断面全体を撮影するという方法を考案し,体肢筋の横断面積がフィールドでも測定可能となった。しかし現時点では測定時間が長く集団測定への適用は困難であり,しかも加齢に伴い体肢筋内に増加する脂肪・結合組織の質的な評価はできない。本研究では集団測定にも適用可能な高齢者における体肢筋の量的・質的評価法の確立を目的とした。 本年度は,開発した測定システムがフィールドにおいて活用できるか否かについて検討することを研究目的とした。連携行政機関(広島県大竹市)の協力の下,高齢者の集団測定を行った。各被検者につき大腿部と下腿部の測定を右脚のみ実施したところ,一人あたりの測定時間は準備も含めて約3分であり,1回の測定会で最大約150名のデータ収集ができた。このようにフィールドでの測定実施によって本評価システムの実用性が確認された。また,超音波体肢横断面画像における各構成組織の自動判別および横断面積自動計測に関するソフトウェアの開発を行うことも本年度の目的としたが,現時点においても開発中であり,本課題については来年度も継続して開発を行う。
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