本年度も、昨年度に引き続いて「環境絵本」関係であると考えられる絵本を100冊あまり収集するとともに、その分析をすすめた。とりわけ、環境絵本を利用して、保育・幼児教育における生活重視の環境教育を実践する際には、消費者教育の視点が必須であるという知見に達したため、この点に留意して絵本の収集と分析をすすめた。 その結果、禁欲の原理を語り紡ぎだす絵本と、世俗外個人が共同体の外部から「もったいない」ことを教える絵本があることがわかり、それぞれの特徴を観察するとともに分析をすすめた。また、環境教育の視点から消費の自発的制限について説明する絵本についても検討した。 具体的には、絵本『花咲き山』と『ハリネズミと金貨』について、そのストーリーについて丹念に調査し、子どもに読み聞かせる実践も行って、子どもたちの反応を調べた。その内容は、今村光章、幼児期における消費者教育に関する教育学的考察--絵本のなかの消費者教育、中部消費者教育学会紀要 第2号、2006年9月(査読あり)、および、今村光章、絵本による幼児期の消費者教育の可能性を求めて--消費者教育的な視点からみた『花咲き山』分析の試み、日本消費者教育学会 消費者教育 第26冊、2006年9月、pp.171-181(査読あり)に掲載した。 他方、ジョルジュ・バタイユの贈与論や人類学の視点から、自然からの贈与をいかに受け取るか、ないしは分配するか、そして、機会があれば、どのようにして返礼するか、といった「贈与と交換」にかかわる視点について文献研究をすすめた。 こうした文献研究でえられた視点は、近著『プラットフォーム環境教育』(東信堂)として出版される予定である。
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