1.静岡県内の中学2校と小学校1校で、被服製作の授業に参加し観察を行った。その結果、針や指貫の使い方、ミシンの下糸の出し方など基礎的な技術や操作法や知識が不十分であることがわかった。一斉授業では全生徒に確実に指導が行き渡っていない現状が見られた。また製作台やミシンの台数が不足の現状が認められた。 2.焼津市内の中学2年生(5クラス計182人)を対象にアンケート調査を行った。甚平製作実習、過去の被服製作、裁縫道具や家庭での裁縫経験、ティーチングアシスタントに関する質問などである。その結果、TAがいた3クラスは、TAがいたことをよかったと受け止め製作後の気持や今後の意欲に前向きな意見が多く認められた。 3.女子大生4名を対象として、並縫い時の手指の動きを2台のビデオカメラで撮影しその軌跡と所要時間などを測定した。計測点は左右の第2、3指の第2関節と第1、2指の先端と手首点の10点である。1回目は被験者の任意の方法で、2回目は実習プリントを参照して、4回目は指導者の師範と個人指導の後に、3回目と5回目は事前に5分間練習をしてから実施した。解析は三次元動作解析システムによった。動作の軌跡を比較すると、プリント教材のみでは正確に理解することが難しく、プリント教材の改善の必要性が認められた。師範や個人指導後では動作の軌跡が一定し、縫い目のバラツキも少なく、技術が向上したことがわかった。 4.浴衣の着崩れに関する着用動作実験を行った。測定点に反射マーカをつけ、6種類の連続動作を行いこれをビデオカメラで撮影し、3次元動作解析システムによりXYZ座標値から動作毎の変化量を読み取った。その結果、襟元の着崩れは後ろ襟が首にかぶってくること、おはしょりの着崩れは腰紐を介して布が引き出されたり引き上げられたりすること、裾の着崩れは、上前・下前の巻きがゆるむことによって生じるものと解釈できた。
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