研究課題/領域番号 |
16650179
|
研究機関 | 武庫川女子大学短期大学部 |
研究代表者 |
奥野 温子 武庫川女子大学短期大学部, 生活造形学科, 教授 (60085248)
|
研究分担者 |
吉田 恭子 武庫川女子大学短期大学部, 生活造形学科, 助教授 (80182757)
賓 月珍 奈良女子大学, 大学院・人間文化研究科, 助手 (90343269)
|
キーワード | 極寒地域(南極) / 紫外線 / 繊維の劣化 / 曝露 / 繊維表面形態 / 表面分析 / 標高 / スキン層の消失 |
研究概要 |
南極域において、H.16年〜H.17年にかけて第45次南極越冬隊の協力の下、旗状に縫製した織物試料(綿・羊毛・ナイロン6・ポリエステル・アクリル)を東オングル島迷子沢にあるイメージングリオアンテナの支柱に取り付け、夏季(184日)、極夜季(52日)、冬季〜夏季(194日)の期間曝露を行った試料、及び内陸旅行のルート整備に伴う赤旗(ナイロン6)の交換時に取り外し収集した試料について、表面形態、表面分析、熱分析、結晶化度等の測定を行い検討した。又、同一試料を西宮市で曝露を行い、穏和な地域との比較を行った。結果、曝露により表面のスキン層は消失していたが冬季〜夏季にかけて約130日間の曝露と、極夜季に52日間曝露された羊毛とナイロン6の繊維表面にプレート状の結晶が観察された。一般に水蒸気中に繊維を12時間曝露した場合に、モノマーやオリゴマーが結晶化することが知られているが、特に極夜期間は紫外線の影響がほとんどないため、気象条件との関連で興味が持たれる。又、回収された旗のうち、標高1200m付近では、吹き下ろしの強風のため旗は引き裂きさかれて試料の残存量が少ないが、標高3700m付近の旗には、強風により摩擦溶融による硬化部分がみられ注目している。又、南極域では国内の曝露では見られない表面の窒素量が増加傾向にあるなど一考すべき結果が得られている。なお、これらの結果をもとに、アクリル板2枚に試料を挟み込み、風の影響と水分の浸入を完全に防ぐ様に配慮したパネルを作製して、紫外線のみの影響による曝露をH.18年1月より開始している。同時に絹織物を加え、条件設定を変えて曝露を続行中でもある。これらの試料が入手され次第、H.16年〜H.17年度に得られた結果を総合的に検討し、極寒地における劣化のメカニズムを解明して本研究の当初の目的であった高機能繊維素材の開発に着手する予定である。
|