昨年度に引き続き、発酵食品を分離源とし、乳酸菌分離培地であるMRS平板培地を用いて、乳酸菌の分離を行った。その結果、新たに48株の乳酸菌を分離することができた。この分離乳酸菌について、グルタミン酸含有培地にて嫌気培養を行い、培地中に生成したγ-アミノ酪酸(GABA)量を、高速液体クロマトグラフィー(逆相イオンペアクロマトグラフィー/ポストカラム誘導体化法)にて測定を行い、GABA生成能の有無を確認した。その結果、数種類の乳酸菌がGABAを生成することが明らかとなった。このうち、いくつかの菌株については、昨年度の分離菌株と同定度のGABA生成能が見られたので、これらの菌株については、相同性検索による簡易同定のため、16srRNA遺伝子配列を現在解析中である。また、昨年度分離したGABA生成乳酸菌4株について、野村が報告しているLactococcus lactisのGABA生成に関与する酵素GADの遺伝子配列を元に設計されたプライマーを用いて、PCRにより増幅を試みた。その結果、L lactisと同条件の55℃のアニーリングでは、増幅は見られなかった。そこで、42〜65℃間の12種の温度を設定し、PCRを行ったが、やはり増幅は見られなかった。異属・異種の乳酸菌の場合、GADの塩基配列がかなり異なることが推測され、次年度はいくつかの属のGADを増幅できる新たなプライマーの設計を行う予定である。
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