昨年度に発酵食品から分離した乳酸菌のうち、なれずしから分離した3株がLactobacillus plantarumと簡易同定され、同じ属・種でありながら、γ-アミノ酪酸(GABA)生成能に違いが見られた。そこで、理化学研究所からL.plantarum標準株7株を購入し、グルタミン酸含有培地にて嫌気培養を行い、培地中に生成したγ-アミノ酪酸(GABA)量を、高速液体クロマトグラフィー(逆相イオンペアクロマトグラフィー/ポストカラム誘導体化法)にて測定を行い、GABA生成能の有無を確認したところ、GABA生成株、非生成株、わずかに生成する株の3つに分類された。この10株を用い、昨年度、設計したプライマーを用いて、グルタミン酸脱炭酸酵素関連遺伝子であるgadBを増幅させ、塩基配列の違いについて検討を行った。その結果、GABA生成能と塩基配列との間に相関はなく、10株のgadB遺伝子はほとんど同じ配列であることが明らかとなった。よって、L.plantarum関しては、gadB遺伝子の配列を利用したGABA生成菌の検索は困難であることが明らかとなった。GABAの生成についてはgadB遺伝子以外にもgadCおよびgadR遺伝子の関与が報告されており、これらの違いについても検討する必要がある。また、昨年度、設計したプライマーを用いて、L.plantarumの他にもStaphlococcus pasteuriおよびLactobacillus brevisのgadB遺伝子を増幅させることができたので、今後は、この株についてGABA生成能との関連を検討していく予定である。
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