【柿渋、あるいは柿渋タンニンの温冷効果と自律神経系への影響】 柿の摂取は末梢の体表温をゆっくりと低下させる。この柿の冷作用の本体を明らかにするため、柿渋、あるいは柿渋タンニンの温冷効果と自律神経系への影響を検討した。被験者は18〜22歳の健康な女子学生10名とした。実験は、温度・湿度のコントロールされた環境下で行い、試験食(柿渋、渋柿搾汁液)あるいは対照食を摂取後、額、首、足首の体表温、鼓膜温、手首の血流を連続的に測定した。柿は特に末梢の体表温を有意に低下させるが、渋柿搾汁液は末梢の体表温を低下させなかった。また、柿渋も末梢の足首の体表温を低下させることはなく、むしろ手首の体表温を上昇させる傾向を示した。柿の体表温低下作用は柿渋タンニンによるものではないと推察された。 【柿、柿渋の酔い醒まし効果の検証】 ヒトを対象として、柿、柿渋を摂取してから飲酒した後、呼気から血中アルコール濃度を携帯型アルコールチェッカーにより測定した。その結果、柿を食べた時と対照(梨)を食べた時、柿渋を飲んだ時と対照(水)を飲んだ時、また柿渋粉末を摂取した時と対照を摂取した時も、飲酒後の血中アルコール濃度にほとんど差が見られなかった。したがって、今回の実験では、柿や柿渋の酔い醒まし効果を明らかにすることはできなかった。 【新たな高ポリフェノール食資源の探索】 身近に自生している可食野草(26種)のポリフェノール含量を測定した。野菜(10種)のポリフェノール量と比較してみたところ、野菜よりもポリフェノール含量の高いものが多く存在した。中でも、古くから食用としているフキ、ヨモギ、イタドリが高ポリフェノール含有植物であることを確認した。
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