1.「アロマ」の加速度脈波カオス指標に及ぼす影響について 今回研究に用いた指尖容積脈波(その二次微分が加速度脈波)は、被験者に対して苦痛を与えることなく、非観血的に数十秒の測定によって検査が可能であり、かつカオス性を有することが報告されている。研究代表者は、本年度も昨年度同様、短期的な香りの生体影響を再度確認すると共に、香りを有するハーブティー摂取の中期的効果を検証した。 アロマの短期的効果については、指標としてリカレンスプロット(RP-dw)、軌道平行速度(TPM ave)を用いた。RP-dwは、ホメオスタシスの状態を示すと考えられ、その数値が大きいとホメオスタシスは破綻傾向にあり、TPM aveは乱雑性の指標とされ、数値が大きいと乱雑さが高いと言われる。ペパーミント、スウィートオレンジ、ローズウッドの3種類の香りに対するカオス指標の変化を見た。ペパーミント吸入により、安静時と比較してRP-dwが有意に低い値を示した。TPM aveは、どのアロマとも有意な変化を示さなかった。この結果より、アロマの吸入により、ホメオスタシスが保存される方向に生理的な反応が動いたと示唆される。また、ランダム性は増加しなかったと考えられる。これは、ペパーミントの主成分であるメントールの精神的な疲労と抑鬱に対する効果が影響していると考えられる。 2.「芳香」を有する飲料の加速度脈波カオス指標に及ぼす影響について 芳香を有する飲料(ハーブティー:ペパーミント、カモマイル、対照として摂取無し)を3ヶ月摂取した時の生理影響を加速度脈波カオス指標により検討した。結果、両ハーブティーとも3ヶ月の摂取前後でRP-dw、TPM ave値とも有意な変化は認められなかった。一方、加速度脈波によって求められる血管年齢がカモマイル摂取において減少した。さらに、摂取期間を長期間にして検討する必要があると考えられる。
|