研究概要 |
1)見学者が先端研究施設を訪問し見学を行う際に,何に対して興味があるのか,また現状の見学方法やシステムに対する要望は何かなどを明らかにし,本研究で構築するシステムを設計する上で求められている仕様を明らかにするため,アンケート調査を行った。調査は平成16年7月から9月にかけて行われ,1,218名(内,小学生131名,中学生191名,高校生243名)から有効回答を得ることができた。これらを分析した結果,見学者の興味の対象は,小学生,中学生,高校生のように年齢が上がると共に興味を抱く割合が増えてくる対象と,年齢に関わらず興味を抱く対象があることが判明した。また,現状の見学システムに対しては,小・中学生を対象とするコンテンツや,より効果的な見学を行うための事前・事後学習のためのコンテンツが不足していることが明らかになった。 2)1)の調査結果を踏まえ,本研究でシステムの実践・評価を行う東京大学宇宙線研究所神岡宇宙素粒子研究施設の研究者への聞き取り調査を行い,本研究で構築し実証実験を行うためのシステムや学習プログラムのプロトタイプについて設計を行うにあたって要求される仕様を明らかにした。この結果,a)コンテンツとしては発達段階に合わせたコンテンツが必要とされている,b)解説システムは見学グループ全体への一斉解説と見学者による個別学習に対応できるシステムが求められている,そしてc)児童・生徒の見学後の学習意欲の向上のためには,研究者による見学対応が必要である,ということが明らかになった。また,個別学習を実現するために,RFIDを用いた見学者の発達段階と興味に応じたコンテンツを自動的に提示するシステムについて,RFID評価キットを用いた基礎実験が行われ,試作システム構築への目処をつけた。
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