研究概要 |
日本における自然エネルギー利用の可能性について太陽熱および風力について検討した。まず,このために必要なデータロガーの開発を行った。風力発電を推進していくには,条件の良い建設地を探し出すことが重要である。そのための風況調査では,現地に風速計・風向計などを設置し,その測定値をデータロガーに記録し解析する必要がある。また,すでに設置された風力発電装置の運転実績を知るためにも,発電出力状況などに加えて,風況も同時に記録する装置が必要と考えられる。しかし,既製のデータロガーは,測定対象の自由度が低く高価であるため,予算規模の小さな組織や個人,ことに学校教育などの現場においては容易に購入できない。今後,風力などの自然エネルギー利用についてさらなる普及を図るには,学生や一般市民などに身近に感じてもらう必要があると思われるが,このためにもロガーの普及が必要であろう。また,さらに信頼性のある風況マップを展開していくには,より多くの測定点が必要であり,そのための標準的なロガーが求められる。そこで,著者らは以下の項目を目標に検討を進め,試作器の開発まで漕ぎ着けた。(1)誰もが利用できる簡単で安価な計測システム,(2)多チャンネル測定データを記録可能,(3)PCによるデータ吸い上げが可能,(4)長期間記録可能なメモリを搭載。本データロガーを用いることで,再生可能エネルギー利用啓発が可能となると考えられる。 つぎに,太陽熱利用の啓発教育について検討した。学生や一般市民に対して,自然エネルギー利用啓発のための教材としてソーラークッカーを開発し,これを用いた環境エネルギー教育について検討し,小中高校生などを対象とした授業方法を提案した。実際に,小中学生徒に対する模擬授業を行い,できる限り幅広い層への自然エネルギー利用啓発を目指すプログラムを提案した。上述したように,再生可能エネルギー利用促進のための啓発教育システムの開発が進展した。
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