研究概要 |
複合現実感(MR : Mixed Reality)は,インタラクティブな3次元コンピュータグラフィックス(3DCG)を実空間に融合させる技術であり,本研究では,この技術を学習環境へ応用し実用化することを目指している.特に本萌芽研究としては,学習者の身体動作によって操作できるというインタフェースに焦点を絞り,その身体動作が理解や記憶に与える効果を測定することが目的であった. このために本研究では,これまでに,空間図形,人体脳,上空の構造,恐竜などの教育用コンテンツを開発して評価を行ってきた.平成18年度は,容易にコンテンツを開発するためのオーサリングツールを開発し,その開発環境を整備した.そしてこのツールで開発したコンテンツを再生するビューワーを開発し公開した.そのビューワーには,本研究の目的である身体動作の効果の指標となる操作履歴を記録できる機能を備えた.また記録したデータは再生して操作の確認ができ,さらに可視化してどの面が多く画面に表示されたかを見るこができるようにした. オーサリングツールについては,評価実験の結果,約1時間の研修をすれば初心者でも基本的な機能を習得することができコンテンツを開発することができた.しかし3D空間の操作には個人差があり,コンテンツ開発とは別に慣れや空間認知のノウハウを習得する必要があった. ビューワーについてはすでにWebで公開しており,オーサリングツールについては準備が整い次第公開する予定である.これらのツールを使うことでコンテンツ開発が容易になるだけでなく,操作履歴機能を使うことで,複合現実感の利用研究および空問認知的な研究のツールとしても使用でき,本分野の研究に貢献できると考えている.
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