研究概要 |
等化とは,相互に比較可能でないテストを比較可能にする手続きである。本年度は,主に,等化の数学的な基礎研究を行った。それらの1つは,非線形の等化法として,主成分曲線法(principal curve)を用いた方法であり,日本行動計量学会において発表した。数学的な取り扱いは難しいが線形な等化法にとらわれない方法であり,今後の研究が望まれる。また,カーネル平滑化法を用いた分位点差縮小法を日本教育心理学会において発表した。ここで,分位点差縮小法とは,等化において点差をどこまで縮小するかを操作することができる等百分位法のことである.カーネル平滑化法を用いた等化法は,非正規性を取り扱う上で有力な手法である.これら2つの方法は,主に非線形・非正規の等化法として,従来の線形で正規の等化法のオルタナティブとして,今後の研究が期待できる・ また,等化における推定の基礎研究として,連続反応モデルの項目母数の推定を論じた論文を英文誌『Educational Technology Research』において発表した。同様に,等化における有力な方法として期待される完全情報最尤法(full-information maximum likelihood, FIML)を実践的に用いた論文を日本テスト学会が編集する『日本テスト学会誌』に発表し印刷中である。これら,2つの研究は,直接的に傾向スコアを用いた等化法と関係しないが,次年度に続く有力な手がかりを得るのに貢献した。
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