研究課題/領域番号 |
16650226
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研究機関 | 宮城教育大学 |
研究代表者 |
西城 潔 宮城教育大学, 教育学部, 助教授 (00241513)
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研究分担者 |
平吹 喜彦 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (50143045)
遠藤 巌 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (70004067)
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キーワード | 丘陵地 / 薪炭林利用 / 景観変遷 / 宮城県花山村 |
研究概要 |
宮城県花山村の丘陵地において、研究テーマに沿う現地調査を計8回実施した。また現地調査で採取した各種試料の分析を行った。主要な調査・研究項目は次の通りである。 (1)丘陵内にみられる大沼湿原の堆積物に関する調査と花粉分析。 (2)丘陵斜面内における炭焼き窯跡の分布調査。 (3)炭焼き窯跡およびその周辺の地形測量。 (4)炭焼き窯の窯底を埋める堆積物の記載と年代測定。 以下、調査・研究結果の概要を記す。まず丘陵地内に位置する大沼湿原の堆積物に関する分析から、過去1500年間の植生変遷が明らかとなった。その結果、花山村の丘陵地の森林植生が、約360年前にブナ-イヌブナを主とする落葉広葉樹林からコナラ-ミズナラの二次林へと変化したことが判明した。また同じ丘陵地において炭焼き窯跡の分布を調査したところ、多数の窯跡を確認することができた。そのうち、2つの窯跡において窯底を埋める堆積物の調査を行い、堆積物中の炭化木片の年代測定を行った。その結果、2つの炭焼き窯はいずれも190〜280年前頃に使用されたものであることがわかった。花山村では藩政期から本格的な木炭生産が始まったと言われているが、植生変遷より推定された360年前の二次林化、200〜300年前に使用されていた炭焼き窯跡の存在は、この見解と調和的である。すなわち藩政期には木炭生産に伴う森林植生への人為的干渉が起こっていたことが、植生および地形に関するデータから裏付けられた。 以上の研究成果のうち、上記(1)・(2)については、日本地理学会の2004年度秋季学術大会(9月25日広島大学)にて口頭発表を行った。また発表内容の一部を雑誌「季刊地理学」に投稿し、現在印刷中である。
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