研究課題
宇宙線と地球上の岩石との相互作用によって岩石の石英中に生成される核種(in-situ宇宙線生成核種)は加速器質量分析装置(AMS)の発達とともに、地球表層プロセスや気候変動に伴う氷床変動プロセスを定量的に評価する為の重要なツールである。昨年度制作した高真空ラインを用いて東京大学においてグラファイトの生成を行うことができるようになったが、今年度は米国ローレンスリバモア国立研究所に設置された、高温真空炉を用いた実験を行った。段階加熱法の評価を行うため、異なる試料の種類、異なる試料サイズ、異なるサンプル量、異なるキャリアガス量、加熱時間やその他の条件について検討を行った。また一方で、大阪大学の希ガス質量分析装置に併設されてある段階加熱装置を用いて、加熱炉の種類による影響に関する実験を行った。その結果、試料サイズについては抽出時間との関係がある程度みてとれた。また異なる試料によって、サンプル抽出の際のバックグラウンドに影響が出てくることがわかった。その為に、これまでに広く用いられている岩石からの石英抽出および生成法の改良も行う必要がでてきた。東京大学の放射性炭素定量についてのAMSの性能は、米国ローレンスリバモア国立研究所に設置されているAMSとほぼ同等の測定を行うことができるようになり、わずかな量のin-situ宇宙線生成による放射性炭素の定量も可能であることが明らかになった。これらの結果は9月に行われた国際加速器質量分析装置にて一部発表した。また、本研究に得られた知見を含んだin-situ宇宙線生成核種と地球科学についての関連については、今年度論文化して公表することができた。しかし、ルーチンでのin-situ宇宙線生成放射性炭素の定量には解決しなければいけない問題があり、本研究ではそれらをこれまでより具体的に明らかにすることができた。
すべて 2005 その他
すべて 雑誌論文 (6件)
地質学雑誌 111
ページ: 693-700
Earth and Planetary Science Letters 238
ページ: 130-145
Global and Planetary Changes (印刷中)
Palaeogeography, Palaeoclimatology, Palaeoecology (印刷中)