研究課題/領域番号 |
16651001
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
田瀬 則雄 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 教授 (40133011)
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研究分担者 |
中村 徹 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 教授 (60015881)
杉田 文 千葉商科大学, 商経学部, 教授 (40275962)
小野寺 真一 広島大学, 総合科学部, 助教授 (50304366)
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キーワード | 硝酸性窒素 / 地下水汚染 / 脱窒 / 浄化 / 植生 / 吸収 / シミュレーション |
研究概要 |
硝酸性窒素による地下水汚染は、農業的な活動(施肥)が主な汚染源となっているため台地などで広範囲に認められ、これまでの点源的浄化対策では対応することができていないのが現状である。窒素に対する自然の浄化機能は、谷地や水田などの湿地で発揮されるとされ、いわゆる土地利用・地形連鎖(畑地と水田、台地と谷地)として認められ、硝酸性窒素に汚染された地下水が台地から谷地へ湧出する際に浄化されている。しかし、台地部の汚染を浄化するための方策が求められており、その可能性として植物浄化、とくに樹木による硝酸栄養塩の吸収・浄化が期待できる。本研究では、「どのような条件下で樹木が硝酸性窒素の浄化帯として機能できるのか」を現地での観測と数値シミュレーションにより明らかにし、実用化の可能性の検討を目的としている。 研究対象地域として、つくば市の台地末端部の谷地の谷壁緩斜面に生育する樹齢数十年と推定されるムクノキを選定し、周辺に多数のピエゾメータを設置することにより、高濃度に硝酸イオンで汚染された地下水の挙動を追跡した。地下水面は地表面下1m程度にあり、着葉期には吸水の影響と考えられるコーン状の水位低下が確認され、落葉期の汚染プルームの分布との比較から、吸収による浄化が示唆された。また、樹林帯の浄化能を評価するため、つくば市内において新たな試験地を設定し、ボーリングにより高密度の観測井を設置し、樹林帯上流域で放出された家畜排せつ物の挙動を追跡し始めた。樹林帯での吸収によると見られる現象が観測されている。 東広島市の河川沿いの樹林帯において、評価のために観測ネットワークを構築し、観測を行い、ハイポレーイック効果による堆積物中での浄化(植生による吸収を含む)を確認できた。 さらに、数値シミュレーションモデル(FEFLOW)による検討を行うための基礎的データの収集をもとに、予備的なシミュレーションを行った。 なお、樹種としてユーカリの適性を検討し始め、室内実験の準備を行った。
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